健康&美容コラムvol.2

日本の50代女性よ、今こそ“質の良い睡眠”で免疫力を高めよ!

2020.6.16

新型コロナウイルス禍の中、感染症予防を心掛けるにあたり“日頃の健康管理や免疫機能を正常に維持することの重要さを改めて認識した”という方も多いのではないでしょうか。細菌やウイルスから体を守ってくれる防御システムと考えられている免疫に、「食事」「運動」「睡眠」などの生活習慣が関わることは、広く知られています。

ルミライズオンライン第2回「健康&美容コラム」では、「免疫と睡眠」について考えたいと思います。皆さんは、ご自身の睡眠に満足していますか?

日本の50代女性は、
世界でもっとも眠らない!?

5年周期で行われているNHK実施の国民生活時間調査によると、2015年の調査では、国民全体の平日の平均睡眠時間は7時間15分で、中でも最も短いのは「女性50代」の6時間31分という結果に。「女性50代」は、平日の平均睡眠時間が10年間で20分も短くなっていることがわかります。

※NHK放送文化研究所
「2015年国民生活時間調査報告書」より
日本の50代女性といえば、家庭での家事や家族のサポート・仕事上の責任・ホルモンバランスの変調など、体力・精神・身体のあらゆる局面においてタフな環境に置かれることがあり、また、周りの事情に合わせて自分の時間を調整しなければならないことも。その結果、自分自身の睡眠時間の確保が後回しになってしまう、という経験がある方も少なくないのでは?
また、時代の流れにあわせて、「仕事をしている」「子育てがひと段落ついたので再就職した」など働く50代女性が増えることで、加齢とともに睡眠時間は更に減ってきているのかもしれません。

日本人の睡眠時間の短さは世界的に見てもワーストレベルであるとも言われていますので、これらのことを総合的に見て考察すると、特に現代において、“日本の50代女性は世界で最も眠らない”といっても過言ではなさそうです。

“質の良い睡眠”とは?

睡眠中は、成長ホルモンを中心に身体の修復に関わるホルモンの分泌が活発になり、その日の活動によって傷んだ細胞の修復や新陳代謝を行うため、身体の健康や健康的なお肌を維持することにも関係があるとされています。成長ホルモンが多く分泌されるのは、眠りはじめの約3時間。その睡眠が“質の良い睡眠”であればあるほど、美肌につながると考えられるのも納得です。

“質の良い睡眠“を得られたかどうかをどう判断するかは、簡単にいうと、朝起きたとき「あ~、よく寝た!」と気持ち良く起床できたかどうかだと、日頃から筆者は考えています。これは、どのようなりズムで睡眠しているか、によって変わってきます。
睡眠中は、脳が覚醒しているレム睡眠(REM sleep)と、脳が休んでいるノンレム睡眠(Non-REM sleep)が繰り返されます。就寝後の入眠時にしっかりとノンレム睡眠をして、その後徐々にレム睡眠へと移行し、これが一晩に4~5回繰り返され、合計睡眠時間が6~8時間程度が一般的とされています。

“質の良い睡眠”がどのようなことを指すのかがわかっても、「自分が質の良い睡眠をしているかどうかわからない」という方も多いと思いますので、例として筆者自身の、ある平日の2日間のヒプノグラム(睡眠図)をご紹介します。

  • <図A>
  • <図B>

図Aは就寝後すぐに深い睡眠になり、ノンレム睡眠とレム睡眠がなかなか良い感じで繰り返されていることがわかります。起床時に頭がすっきりしていてまぁまぁ気持ちよく起きることができた日で、睡眠時間は約6時間、睡眠の品質が60%(中の上くらい?)という結果でした。これに対し、図Bは就寝後すんなりと深い睡眠にたどり着けず、起床前に耐え切れずに(?)一度だけ深く眠ったことがわかります。この日はプライベートでちょっと気がかりなことがあり、起床時に「もっと寝ていたい」と感じた朝でした。睡眠時間は約5時間、睡眠の品質は、なんと21%という低い結果に(泣)。
※睡眠アプリ「Sleep Cycle」を使用
図Aのような(又はもっと良い)睡眠を行えれば、きっと成長ホルモンは遠慮なく分泌され、あちこちの傷んだ細胞の修復を素早く行ってくれるでしょう。その逆で、しっかりと睡眠することができない日が続くと、傷んだ細胞の修復が十分に行われないため、化粧ノリが悪かったり、肌荒れが治りにくかったり、身体の疲れがなかなか取れない、ということにもつながります。

“質の良い睡眠”は「免疫」にどう関係している?

初めに述べたように免疫は細菌やウイルスから体を守ってくれる防御システムと考えられています。免疫力が低下する要因は様々ですが、一般的に以下のようなことがいわれています。

  • 加齢
  • 新陳代謝の低下
  • 血行不良、冷え
  • ストレス
  • 添加物の多い食生活、栄養の偏り
  • 睡眠不足

これらを見ると、加齢は仕方ないにしても、日頃の生活習慣が免疫力を左右していることが容易に見てとれます。睡眠に関していえば、「睡眠不足が続いて風邪をひきやすくなった」ということを体感された方がいるかもしれませんが、ずばり、免疫力は睡眠中に維持・強化されるのです。
先述の成長ホルモンは免疫細胞の機能を強化する役割も担っているため、成長ホルモンを多く分泌するタイミング(寝入りばなの約3時間)に質の良い睡眠をとれているかどうか、ということが、免疫力の回復に関わっていると考えられます。

必要な睡眠時間は人それぞれ。
無理なく“質の良い睡眠”をとる方法

忙しい毎日であっても睡眠を疎かにしてはいけません。毎日しっかり眠る習慣が、免疫力向上の重要な要素になります。そのためには、

  1. まずは睡眠時間を確保しましょう。
  2. ゆっくりと湯船につかる入浴(40℃のお湯の場合15分程度)を。入浴により体温を上げ、その後1~2時間の放熱過程での入眠が安眠につながります。
  3. 心身をリラックスさせ、ネガティブな思考や不安感情を手放しましょう。
  4. 日中に適度な運動をしましょう。睡眠と覚醒のリズムにメリハリがつき、睡眠を安定させます。
  5. 就寝前には、その日のスマホも終了しましょう。

どんな生活パターンがぐっすり眠れたと思えるのか、自分なりの傾向をつかんでおくことも大切です。今現在の健康も10年後の健康も日々の睡眠がカギとなります。健康と美容のため良い睡眠を積み重ねていけるよう、できることから始めて免疫力の向上を図ってみませんか。